yukanakura monthly playlist : april 18

コンピュータは2進数で動いているから、そこで扱う全てのデジタルデータは数字で表現できる。
つまり、僕がこの間撮った写真も、その正体は数字と言える。

そして、この世界には乱数という概念が在り、無限に続いていくランダムな数列の中には、きっと僕がこの間撮った写真と全く同じ数列も存在する。

そう考えると、僕がカメラで切り取った眼の前の一瞬は、その時新たに生まれたものではなく、人間が生まれる遥か昔から数列の中に存在していたものであることがわかる。

僕達が日頃生み出したものや、見た映画、僕が今書いているこの文章でさえも、人間が作ったのではない。
元々存在していたものを、たまたま誰かがうつしとったに過ぎないのだ。

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この間の休日は素晴らしかった。
仲間の家で夜通し飲み、次の日は夕方まで寝癖をつけながらとりとめもない話を楽しんだ。

彼の弟が寝ていた和室がなんだか美しくて写真を撮ったが、この一枚にあの時間の全てが詰まっている気がする。
僕はそう思う。
全部が入っている。

しかし全ての写真は数字という概念が生まれた瞬間から存在することを考えると、僕が写真に写っていると思った耽美さや感動もまた、太古から存在しているということになる。

そう考えると、デジタルデータだけではなく、人間が日々行っている営みも、未来も、もうこの世には全て出揃っていて、ただ僕達は日々それをなぞっているに等しいと言えるのではないか。

なんとも愛おしい。
人間はどんなことをしようと、どんな物を作ろうと、それらは全て、既に在る。
このルールの中で、人間は生きる。
できるだけ多くのものを見つけ、できるだけ多くの美しさを見つけるために生きる。

これから先、きっとたくさん大変なことがある。
心が折れることもあるだろう。
泣いちゃうこともあるだろう。
どんなことがあっても僕は生きていく。

疲れちゃうことばっかりじゃ嫌だから、たまには仲間と一緒に幸せな時間を過ごしたい。
この間の写真と全く同じ写真に出会うことは二度とないけど、過ごしたあの時間の美しさには、なんだかまた出会える気がする。
僕は人生の中で、あの時の美しさをまた見つけたい。
いつか、見つけるつもりだ。

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